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扇風機で「気流の道」を作る——複数台で換気効率を上げる方法

time 2026/02/05

換気のために、窓際に扇風機を置いて外に向ける。

これはよく知られた方法だ。室内の空気を窓から押し出すことで、換気を助ける。手軽で、すぐにできる。多くのサイトやテレビでも紹介されている。

だが、ここでひとつ疑問がある。

窓際に1台置くだけで、部屋全体の空気は本当に入れ替わっているのだろうか?

窓際1台の限界

窓際に扇風機を1台置いて外に向ける。すると、扇風機の周囲——窓の近くの空気は確かに外に排出される。排出された分だけ、反対側の窓やドアの隙間から新しい空気が入ってくる。理屈としては正しい。

しかし、問題がある。部屋の奥の空気が動かないのだ。

扇風機が吸い込める空気は、その背面近くにある空気だ。窓際に置いた扇風機は、窓の近くの空気を吸い込んで外に出す。部屋の中央や奥の空気は、なんとなくゆっくりと窓のほうに引き寄せられるかもしれないが、積極的に動いているわけではない。

部屋の隅には「空気の淀み」ができる。空気が滞留しているエリアだ。ここの空気はなかなか入れ替わらない。窓際の扇風機がいくら頑張っても、部屋の隅まで手が届かないのだ。

空気は「押す」だけでなく「流す」

ここで発想を変えてみたい。

窓際の扇風機は、空気を「押し出す」役割を担っている。だが、換気の効率を上げるには、押し出すだけでは足りない。室内全体の空気を「流す」必要がある。

水に例えるとわかりやすい。バケツの水を捨てるとき、バケツを傾けるだけでは底に水が残る。ホースで水を流し込みながら排出すれば、バケツの中の水は効率よく入れ替わる。空気も同じだ。入口から出口まで、一方向の流れを作ることが重要なのだ。

では、扇風機でどうやって「流れ」を作るか。

複数台で「気流の道」を設計する

答えはシンプルだ。扇風機を複数台使って、空気がリレーのように受け渡される「道」を作る。

考え方はこうだ。

基本形:入口と出口を分ける

まず、空気の入口と出口を明確に分ける。部屋に窓が2つあるなら、一方を入口、もう一方を出口にする。窓が1つしかない場合は、ドアを入口にして窓を出口にする。

入口側には扇風機を室内に向けて置き、外気を引き込む。出口側には扇風機を外に向けて置き、室内の空気を排出する。これだけで、空気の流れに「方向」が生まれる。

中継を置く

入口と出口の間に距離がある場合、その中間に扇風機をもう1台置く。入口から入った空気を、中継の扇風機が受け取って奥に送る。あるいは、奥の空気を出口に向かって押し出す。

この「中継」が重要だ。入口と出口だけでは、中間に淀みができる。中継を置くことで、部屋全体に一方向の気流が生まれる。空気の淀みが解消され、隅々まで新鮮な空気が行き渡る。

向きを揃える

複数台の扇風機を使うとき、重要なのは風の向きを揃えることだ。入口→中継→出口と、すべての扇風機が同じ方向に空気を送る。バラバラの方向を向いていると、気流がぶつかり合って乱流になり、かえって効率が落ちる。

川の流れをイメージするといい。上流から下流に向かって、水はひとつの方向に流れる。途中で逆流する場所があれば、流れは滞る。扇風機も同じで、すべてが同じ方向に空気を送ることで、スムーズな気流の道ができる。

1部屋を超えて、建物全体に広げる

この「気流の道」という考え方は、1つの部屋に留まらない。

たとえば、福祉施設を想像してほしい。共有スペース(食堂やリビング)があり、廊下があり、その先に個室が並んでいる。エアコンが効いているのは共有スペースだけで、廊下や個室は蒸し暑い——そんな状況は珍しくない。

ここで、気流の道を建物全体に拡張する。

共有スペースから廊下へ

共有スペースの窓から外気を取り入れ、扇風機で廊下に向かって送る。廊下の途中にもう1台扇風機を置き、さらに奥へ空気を中継する。廊下の突き当たりに窓やドアがあれば、そこから排気する。

こうすることで、共有スペースに入った新鮮な外気が、廊下を通って建物全体に流れていく。

廊下から各居室へ

廊下に気流の道ができれば、各居室のドアを開けておくだけで、廊下の空気が部屋に入り込む。居室側の窓を少し開けておけば、さらに効果的だ。廊下→居室→窓の外、という流れができる。

自分で窓を開けられない利用者がいる福祉施設では、この「建物全体の気流設計」が特に重要だ。個人の行動に頼らず、設備側で空気の流れを作ってしまう。

 

ただし、共有スペースから廊下、廊下から居室へと空気を中継するには、家庭用では力不足になりやすい。

業務用の大型扇風機なら、広い空間にも気流の道を通すことができる。必要な台数を夏の間だけ揃えるなら、業務用 大型扇風機のレンタルという方法もある。

配置のポイント

複数台で気流の道を設計する際、いくつか気をつけたいポイントがある。

床に置くか、高い位置に置くか

暖かい空気は上に溜まり、涼しい空気は下に溜まる。換気の目的が「暑い空気を排出すること」なら、扇風機を高めの位置に設置して上部の空気を動かすのが効果的だ。一方、感染症対策として空気全体を入れ替えたい場合は、床に近い位置に置いて、人が呼吸する高さの空気を優先的に動かすほうがいい。

首振りは使わない

気流の道を作るとき、扇風機の首振りは基本的にオフにする。首振りをすると、風の方向が分散してしまい、一方向の流れが作れない。気流の道は「狙った方向に、一定の風を送り続ける」ことで成立する。涼を取るための扇風機とは、使い方が違う。

扇風機の間隔

扇風機1台が有効に空気を動かせる距離は、機種や風量にもよるが、おおよそ5〜8m程度だ。これを超えると風速が落ち、空気の流れが弱まる。長い廊下やL字型の空間では、この距離を目安に中継を配置するといい。

換気と涼を取ることは別の話

ここで注意しておきたいのは、換気と涼を取ることは目的が違うという点だ。

涼を取るための扇風機は、人に直接風を当てて体感温度を下げる。首振りを使い、人のいる場所に向ける。

換気のための扇風機は、人に風を当てることが目的ではない。空気の入口から出口まで、一方向の流れを作ることが目的だ。風は人ではなく、空気の道に向かって送る。

この2つを混同すると、「扇風機を回しているのに換気ができていない」「換気しているのに涼しくない」という中途半端な状態になる。理想的には、換気用と涼を取る用で扇風機を分けるか、時間帯によって役割を切り替えるのがいい。

まとめ

窓際に扇風機を1台置く——これは換気の第一歩だが、それだけでは部屋全体の空気は入れ替わらない。

  • 空気の入口と出口を分け、一方向の流れを作る
  • 中継の扇風機を置くことで、淀みを解消する
  • すべての扇風機の向きを揃え、スムーズな気流の道を作る
  • 1部屋に留まらず、建物全体に気流のネットワークを広げることもできる
  • 換気用の扇風機は首振りを使わず、一定方向に風を送り続ける

扇風機は「風を当てる道具」であると同時に、「空気を運ぶ道具」でもある。複数台で気流の道を設計すれば、窓際1台ではたどり着けなかった場所まで、新鮮な空気を届けることができる。

複数台で気流の道を作りたいが、台数を揃えるのはコストがかかる——そんなときは、業務用 大型扇風機のレンタルという選択肢がある。施設やイベント会場など、夏の間だけ必要な場面には特に向いている。

 

著者情報

すずぼく

すずぼく

コンテンツ責任者

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