涼しい僕たちは扇風機を使う

扇風機が生み出す風とカルチャーを探求しています。

扇風機 目が乾燥して角膜に傷がつく!?

time 2025/09/08

この記事の要約:
・扇風機直風は、涙の蒸発を早めて角膜を傷つける可能性がある
・実験では「1分の直風」でも涙膜が不安定になる結果が出ている
・普通の使い方では心配しすぎる必要はないが、「長時間直風を浴びる」のは避けることが大切

 

夏になると欠かせない扇風機。最近ではハンディ扇風機もすっかり日常のアイテムになりました。

しかし「風を顔に当て続けると眼球が乾燥して角膜を傷つける危険がある」と聞くと、少し大げさに感じる方も多いかもしれません。

以下の記事で言及がありました。

携帯扇風機「正しく使って」 熱中症リスク、破裂や発火
https://www.47news.jp/13122682.html

 
風を顔に当てる=即座に目が乾燥して角膜に傷がつく、ということでもありませんが、しかし、実際に、角膜に傷がつく可能性があるのは事実です。

 

涙が目を守っている

角膜(黒目の表面)には血管がなく、涙膜という薄い涙の層がバリアの役割を果たしています。
涙膜は、乾燥や異物から目を守り、角膜の表面を滑らかに保ち、視力をクリアにする働きがあります。

そのため、涙膜が崩れてしまうと角膜が無防備にさらされ、小さな傷(角膜上皮障害)や炎症を起こす原因になり得ます。

ハンディ扇風機を使った実験

眼科医の有田玲子先生監修による実験(2022年発表)では、被験者3名に対して ハンディ扇風機を1分間、顔に直風で当て続けた ところ、全員「涙膜破壊時間(BUT: Tear film Break-Up Time)」が半分以下に短縮しました。

※BUTとは、まばたき後に涙膜が乾燥スポットを作るまでの時間のことです。
※健康な目なら10秒以上は安定していますが、5秒以下になると「ドライアイ」と診断される目安になります。

この実験では、たった1分の直風でも涙膜の安定性が失われたことが確認されました。

「眼球に風を当て続ける」状況は避けられる

ここで大事なのが、どのくらいの長さ当て続けたら傷がつくのかです。

普通に部屋で扇風機やエアコンを使っていても、風は顔全体に当たり、目にだけ集中することはまずありません。
寝ているときも、まぶたが閉じていれば角膜は守られています。

本当にリスクがあるのは、例えばこんな状況です。

  • ハンディ扇風機を至近距離から長時間、顔に当てる
  • 自転車や車で窓を開けて高速走行し、風が目に入り続ける

こう思うと、日常生活の中で「眼球に風を当て続ける」状況は、意図しない限りそう多くはないと言えますので、避けることが容易ではないかと思います。

 
風は夏の生活を快適にしてくれる大切な味方ですが、目に直撃し続ける環境は避ける

これを覚えておくだけで、目の健康をぐっと守ることができます。

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