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団扇車をエクササイズ器具として蘇らせる——2人1組で風を送り合うという発想

time 2026/01/23

団扇車という道具をご存知だろうか。

ハンドルを回すと複数の団扇が動き、風を送る装置。電気がなかった時代、人力で涼を得るために発明された、いわば扇風機の原型だ。

江戸時代から明治時代にかけて使われていた記録があるが、電動扇風機の登場とともに姿を消した。当然だ。ハンドルを回すのは疲れるし、電気のほうが楽だから。

だが、ここでひとつ問いを立ててみたい。

団扇車は、エクササイズ器具として現代に蘇らせることができるのではないか?

団扇車の構造的な欠点

団扇車には、致命的な欠点がある。

ハンドルを回す人は、風を受けられない。

貴人のために召使いが回す——そういう使い方を前提とした道具だった。回す人は汗をかきながら労働し、涼しいのは座っている人だけ。主従関係がなければ成り立たない構造だ。

これが、団扇車が廃れた本質的な理由だろう。自分で回しても自分は涼しくならない。それなら団扇を直接扇いだほうがマシだ。

「疲れる」をエクササイズと捉え直す

しかし、視点を変えてみよう。

「疲れる」という特性は、現代においてはむしろ価値になる。エアロバイク、ランニングマシン、ローイングマシン——わざわざ疲れるためにお金を払ってジムに通う時代だ。

団扇車のハンドルを回す動作は、腕や上半身を使う有酸素運動になりうる。負荷を調整できる仕組みにすれば、立派なエクササイズ器具だ。

しかも、エアロバイクを漕いでも風は起きないが、団扇車なら漕いだ分だけ風が生まれる。運動の成果が目に見える(というか、肌で感じられる)のは、なかなか面白いのではないか。

それでも自分は涼しくない問題

ただし、ここで先ほどの欠点が立ちはだかる。

いくらエクササイズになるといっても、自分が涼しくないのでは意味がない。運動して汗をかいているのに、風は相手に送られる。それでは修行だ。

エアロバイクなら、扇風機を自分に向けて漕げばいい。だが団扇車は構造上、風の向きは固定されている。

ここで、発想の転換が必要になる。

2人1組で風を送り合う

解決策はシンプルだ。2人1組で、向かい合って団扇車を回せばいい。

Aさんが団扇車を回して、Bさんに風を送る。同時に、Bさんも団扇車を回して、Aさんに風を送る。

こうすれば、お互いが「運動しながら涼を得る」という状態が成立する。

  • Aさん:運動している → Bさんからの風で涼しい
  • Bさん:運動している → Aさんからの風で涼しい

主従関係ではなく、対等なパートナーシップ。お互いが労働し、お互いが報酬を得る。団扇車の構造的欠点を、2人1組という形式で解消できる。

エアロバイクにはない価値

この「2人1組エクササイズ型団扇車」には、エアロバイクにはない価値がいくつかある。

1. 運動の成果が即座にフィードバックされる

自分が頑張って回すと、相手に強い風が届く。相手が頑張ると、自分に強い風が届く。運動の成果が「涼しさ」という形で即座にフィードバックされる。

エアロバイクの消費カロリー表示より、よほど直感的だ。

2. コミュニケーションが生まれる

「もうちょっと速く回して!」「疲れたから休憩しよう」——2人で向かい合って運動することで、自然とコミュニケーションが生まれる。

一人で黙々と漕ぐエアロバイクとは、まったく違う体験だ。カップルや友人同士のエクササイズとして面白いかもしれない。

3. 電気を使わない

人力で動くので、電気代はゼロ。停電しても使える。エコという観点でも、時代に合っている。

「サステナブルなエクササイズ器具」として売り出せば、一定の需要があるかもしれない。

4. レトロで映える

団扇車のデザインは、現代の目で見ると新鮮だ。木と竹と紙でできた、あの独特のフォルム。SNS映えする写真が撮れそうだ。

「古くて新しい」というコンセプトで、インテリアとしても成立する。

課題と現実性

もちろん、課題もある。

スペースの問題

2台の団扇車を向かい合わせに置くには、それなりのスペースが必要だ。一般家庭のリビングには厳しいかもしれない。ジムやフィットネススタジオ向けの機材になるだろう。

騒音の問題

団扇がバタバタと動く音は、静かな空間では気になるかもしれない。音楽をかけながら使うか、屋外での使用が前提になる。

製品化のハードル

現代の安全基準や品質基準を満たした団扇車を製造するには、それなりの開発コストがかかる。ニッチな市場に対して、採算が取れるかは未知数だ。

まとめ

団扇車は「涼を得る道具」として電動扇風機に取って代わられた。しかし、「エクササイズ器具」として再定義すれば、現代にも居場所がある。

2人1組で向かい合って風を送り合う形にすれば、「運動しながら涼しい」という、エアロバイクにはない価値が生まれる。

  • 運動の成果が「涼しさ」として即座にフィードバックされる
  • 2人で行うことでコミュニケーションが生まれる
  • 電気を使わないエコな設計
  • レトロなデザインが映える

江戸時代の道具を、令和のエクササイズ器具として蘇らせる。そんな発想があってもいいのではないか。

誰か、作ってくれないだろうか。

 

著者情報

すずぼく

すずぼく

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レンタルのローム 代表 西山